最近、バリフリという言葉がよく使われてきました。何を隠そう、バリフリを最初に使い始めたのは私たち。そして、バリアフリーのただの略語ではなく、そこには深い意味があるのです。
バリフリとは、NPO法人伊勢志摩バリアフリーツアーセンターの前身といえる、「伊勢ばりふり団」からきています。
伊勢ばりふり団が発足したのは、2000年春。当時、チェアウォーカーに片想いをしていた団長、橋本あゆみ(現:野口あゆみ)を筆頭に、彼女が以前勤めていた地元タウン誌編集部の先輩後輩などの仲間たち、そして同年代の地元障害者を集めての、異色な船出でした。
バリアフリー活動をしている中で、「バリフリ」と言えば、単にバリアフリーの短縮言葉だと思われがちですが、実は、私たちが当時つけた伊勢ばりふり団にとっての「バリフリ」には、もっともっと深い意味がありました。
当時、車椅子のどこにブレーキがついているかも知らなければ、福祉に係わったこともない編集部の私たち。誇りに思って取材に取り掛かっていた「伊勢志摩おでかけ!チェアウォーカー」制作で、取材慣れしている私たちのはずが、今までの取材とは違う障害者という視点で見ていかなくてはいけないことに戸惑い、そして取材時に立ちはだかるチェアウォーカー視点でみた街のさまざまなバリア。活動していなければ見えなかったこのバリアの多さに愕然としました。
このバリア、どうやってクリアしていけばいいのだろうと思い悩んでいたとき、初めて出会ったチェアウォーカーの言葉を思い出しました。
「うちらは、バリアフリーじゃないから街に出ないのではなくて、バリアフリーになってほしいからもっとどんどん街に出るんや。バリアがあろうがなかろうが関係ない、そこへ行きたければなんとしても行くんや!」
この言葉の通り、階段があるからスロープを作れ!と抗議するわけでも、そこへスロープが出来るまでじっと待っているわけでもないのです。バリアをものともせず突き進むという行動が街をバリアフリーに変えていくのです。
「バリフリ」とは、そんな行動を意味するかのように、バリアをバリッと破ってフリーにしていくという気持ちが含まれた上での言葉だと伊勢志摩バリアフリーツアーセンターは考えています。
私たちの常日頃のバリフリ活動とは、そんな強く大きな思いが込められているのです。